今年は五年に一度の国勢調査の年である。そのことをつい先日知った。西暦で五の倍数になる年に行うのがいかにも日本らしい。
ぼくはまがりなりにも一世帯になるらしく、今回始めて記入することになった。記入することになったのは良いのだが、自分の名前を記入し、引き続いて性別の項目をマークしたところで自分のマークシート記入能力に絶望し、以降は相方に代筆を依頼した。平たく言うと、マークシートの丸印をうまく塗りつぶせないので、相方に代わりに塗ってもらったのである。総務省はマークシートなどという非合理な入力方法はさっさと廃止してはどうか。小耳に挟んだところでは大学入試センター試験に於いても答案はマークシートで出すことになっているとかいうことであるが、鉛筆で丸印を塗りつぶすのが不得手な受験生などは概して損をしていると思う。それとも大学受験予備校では、そういった練習も含めて授業を開講しているのだろうか。
閑話休題。
国勢調査票はそれほど項目が多くなく、本当に純粋に統計のためだけに行っているのだな、と実感される。何だか盛り上がりに欠けるのも仕方がないような気がする。国勢調査を盛り上げようという気概が、調査票から伝わってこないのである。国政の基盤となる統計調査なのであるから、もっとこう、記入したい、記入しないと気が済まないと思わせるような、魅力的な調査票であって欲しいものだ。
また、項目がこれだけでは、大多数が調査結果にあまり興味を惹かれなさそうだ。左右の別とか宗教の違いとかいった枠組みに関係なく、自国の情報に無頓着であるのは、近代的民主国家に起臥する国民としては色々とマズいと思うのだが、どうだろう。この意味でも、国勢調査をせめて衆議院総選挙と同程度には盛り上げた方が良いような気がする。
例えば、集計項目をもっとバラエティ豊かなものにするのである。「主食は白飯派? パン派?」とか「コーヒー派? お茶派?」とか「尊皇派? 攘夷派?」とかいった項目を追加して、十月一日の回収日に即日集計を行い、政府広報並びに内閣官房長官発表で「平成十七年度国勢調査ニ拠レバ日本国民ノ六割ハ各種茶類ヲ愛飲ス」などと結果を仰々しく告示するのである。NHKの夜の7時のニュースではニュース解説員が大真面目に調査結果の予測と分析を行い、民放各局は全国各地の御飯党やパン党、甘党、辛党、ビール党から日本酒党各派に至るまで、ありとあらゆる党派の有力者を中継し、その様子をぼくはコタツで猫と戯れながらテレビで眺めるのだ。
……冗談で書いていたのに、本当に見てみたくなった。
とにかく、あまり実際的なことばかり黙々と集計し、淡々とデータを積み上げていくだけなのも如何なものかと思う。国民が「日本」という共同体を多少なりとも意識するせっかくの機会なのだから、行政はそれを最大限に利用するべきであろう。少子高齢化傾向に有る人口の変動グラフを提示したとき、それが「興味のある調査結果の一部」であるか「興味のない調査結果の一部」であるかによって、それを見る者の心証はかなり違ったものになるはずだ。少なくとも「少子化でヤバいから、もうちょっと子供を産んでください。育児支援は増やすから」と単に言い続けるよりも、いくらかマシな展望が開けることと思う。
なんでも今年の前半は死亡率がついに出生率を上回り、人口の減少が確認されたのだそうだ。国勢調査によってもうちょっと詳しい実情が浮かび上がってくるだろう。色々書いたが、個人的には、育児支援や年金制度等の福祉政策にダイレクトに響くであろう調査結果に、実のところ少なからぬ関心を持っている。
結果がいつどのように発表されるのかを知らないのが困ったものだが。
気付いたら今月はちっとも日記を書いていなかった。なかなか珍しいことだ。きっと日記の神様が出雲に出張なさっていたのだろう。
急に寒くなったおかげで、ぼくも猫も風邪をひいてしまった。うちの猫達は毎年この時期になると決まって風邪をひく。順番にひいてまわる。不思議なことに、二匹以上同時にひくことがない。一匹だけがくしゃみをしていて、他の七匹は平然としている。かと思うと、昨日まで元気だった猫が、今日になると風邪をひいている。くしゃみをしていた猫はケロリとしている。
今週末、関西オープンソース2005が開催される。例年通りユーザー会も出展するので、ぼくも例によってブースへ手伝いに行く。今年は大学生のT.N.君が中心になって頑張ってくれている。OpenOffice.orgは2.0の英語版が正式リリースとなり、日本語版もしばらくしたらリリースされるはずである。OOo2.0になってさらに洗練され、いよいよ一般ユースではMS Officeが不要になりそうだ。
macromedia STUDIO 8日本語版が先日発売された。おちおちしているとFlash MXからアップグレード出来る製品がなくなると思って、早々に購入したのだが、どうもマクロメディアのアップグレードポリシーが変更になったようで、Dreamweaver 3からでも可能なようである。それなら、うちではアップグレードパスが計2本あることになる。とりあえずはいいけど。
主な目的はFlash Pro 8へのアップグレードである。それならFlash Pro 8のアップグレード版を買えば良さそうなものだが、どういうわけだかSTUDIOとの価格差がほとんどなかったので、折角だからSTUDIO 8にした次第。で、折角買ったのだからということで、Dreamweaverを使ってみた。
ぼくはmiとFinderとFetchがあれば満足な人間である。正確に言うと別に満足している訳でもないのだが、これ以上に使いやすい環境に巡り合ったことがないので、現状では左様な環境で作業している。WYSIWYGエディタはコードが美しくないばかりか使い勝手もよろしくないので、まともに利用したことは一度もない。
今回の場合も、WYSIWYGエディタとしての機能は、DWに対してまったく期待していない。テキストエディタをタブで管理出来たり、サーバとのやりとりが大変楽であるという評判を聞いたので、専らそういうツールとして利用しようと思っている。
当初はテキストエディタが手に馴染まず苦労したが、慣れるとこの上なく快適だ。テキストエディタ自体の出来はまあ普通というか、正直miの方が使いやすいと思うが、サーバとのやりとりを半自動化出来ることの恩恵は、思った以上に幸せな感じである。やるじゃないか、マクロメディア。DW3のタコさから比べるとまさに隔世の感がある。
と、まあ快調に使っていたのであるが、PHPを書き始めると途端に問題にぶつかった。半角の\が全角¥に勝手に変換されてしまうのだ。設定を都合53回ほど虱潰しに調べたが、関連する項目が見当たらない。いい加減イライラしてきたのでGoogle様にお伺いをたてると、
DW MX 2004の頃からのバグだそうだ。しかも、この回避方法はどうもDW 8だと無効っぽくて、さっきからもう何時間も円マークと格闘している。
アホか。メジャーバージョンアップなんだから、とっとと直しとけ。
昨日、F、Tご両家の結婚式とその祝賀パーティに出席した。新郎のT.F.とは高校以来の友達である。新婦のMさんは、「新郎御友人」として列席した他のほとんどの連中同様、ぼくにとっては未知の女性である。と思っていたら、式の後でMさんに「大学の頃に、一度ご挨拶して以来ですよね(白林檎註:多分バンドの練習のときかステージ本番の後であろう)」と言われ、とりあえず何食わぬ顔で「そうですね。おめでとうございます」と返しておいたが、その実、背中では冷たぁい汗が幾筋も流れていた。
チャペルで挙式後、いわゆる披露宴は催されず、新郎新婦とそのご親族ご一同だけで会食をしたようだ。その間、我々はテキトーに時間を潰し、夕方から祝賀パーティが始まった。
式もパーティもとにかくめでたくて、またドラマチックであった。ぼくも二人を心から祝福し、かつその場に集まった昔からの友達と話に花を咲かせていたが、いつの間にか結婚していたのが何人かいて──ぼくは携帯電話をいきなり解約したり新しくしたりしたために音信不通となり、誰を経由しても連絡が取れなかった由。なのでこの機会に可能な限り多くの友達と電話番号を教えあったのだが、そのせいかあっという間に電池がなくなった──心底驚かされた。もっとも、驚愕というキーワードで言うならば、ぼくが列席したことが最大のサプライズだったらしい。
パーティの後は時間に余裕のある連中で集まって、三次会へとなだれ込んだ。この三次会というのがつまり酒宴で、流石に昔のようなバカ飲みはしなかったけれど、皆本当に雰囲気が変わっておらず、何だか気を抜いたら涙が出そうだった。もちろん言葉のアヤというヤツである。
とはいうものの、今振り返ってみるとかなりの量を飲んでいたようで、今日は朝から頭が重い。色々思うところはあるのだが、とりあえず今日のところはこれくらいで筆をおくことにする。
UMAと称される動物のグループがある。ウマではない。ウマなら毎週府中のトラックで競走している。
日本で作られたこの造語はユーマと発音し、未確認動物という意味を持つ。「ぼかぁ確かにこの目で見たんです」「この足跡は間違いなくビッグフットのものだと私は思います」「いるとしか言えない」等々、証言や状況証拠の如き物は相当数が報告されているにも関わらず、科学的な調査となると突然雲隠れしてしまう動物の総称である。要するにネッシーとかクッシーとか、イエティとかツチノコとか、まあそういった連中のことだ。
こういった動物の話や、それを求めてジャングルに分け入っていく探検隊の話などは、一般に荒唐無稽なものとして受け止められることが多い。しかし、オカピやコビトカバ、マルミミゾウなど、少数ではあるが、UMAと言われていたものが科学的に存在を確かめられた例もある。最近では謎の吸血生物チュパカブラが中南米を騒がしている。
アフリカはコンゴ共和国には、モケーレ・ムベンベというのがいる。ぼくが最初にこいつのことを知ったとき、その本には「ネッシーと似たような姿で、コンゴに広がる広大なジャングルの奥地、人跡まれな湖に棲息している」というようなことが書いてあった。つまり、首長竜のような生物として扱われていた。
ところが最近の研究では、どうもそれは調査隊の早合点だったらしいことがわかってきた。「モケーレ・ムベンベ」というのは現地で話されているリンガラ語で、その意味するところはちょっと忘れたが、日本語でいうと「化け物」とか「怪物」といった、割と意味の広い言葉であるらしい。一反木綿やのっぺらぼうや、とにかくそういった連中に遭遇すると、大抵の日本人はいちいち「一反木綿だぁ」などと騒いで逃げ出しはしない。「化け物が出たぁ」と叫んで、腰が抜けそうになりながら必死に逃げることだろう。モケーレ・ムベンベという言葉は、現地の人々にとって、つまりそのような言葉らしいのである。
何だかこれは将来性がなさそうなUMAだなぁなどと思いつつ、ふとウィキペディアを見ると、どうも最近では「一反木綿」とか「のっぺらぼう」に相当するような、個別の名称も収集されているという。詳しくは
ウィキペディアのモケーレ・ムベンベの項をご参照いただきたい。以下、その名称について冒頭部分を抜粋してみよう。
エメラ・ントゥカはリンガラ語で、「水中のゾウ」、「ゾウ殺し」といった意味の言葉……(後略)
ムビエル・ムビエル・ムビエルは、リンガラ語で「背中に板が生えた動物」の意味……(後略)
ングマ・モネネは、リンガラ語で「巨大な大蛇」の意味……(後略)
どうだろう、「化け物」よりはもうちょっと具体的になってきたとは思われないだろうか。なんでもコンゴのジャングルというのが、未調査地域が実に総面積の80%ということだから、こういった妙チクリンな連中がひょっこり顔を出してもおかしくない。調査隊の方々には是非とも頑張って、モケーレ・ムベンベを発見していただきたいものである。
それはそうと、「ムビエル・ムビエル・ムビエル」が「背中に板が生えた動物」という意味になる理屈がよくわからない。リンガラ語に通じている方と会う機会があったら、是非ともこの辺についても質問してみたい。