バタバタしていたので、夕食は車で
サイゼリア へ。サイゼリアというのは、ご存知の方もいるだろうが、イタリア料理がメインのファミレスである。大阪へ来て初めてその存在を知ったので、もしかすると関西をメインに展開しているのだろうかと思ってサイトの店舗情報を見てみたら、別にそんなことはなかった。しかし、まるで
大和朝廷 のような
領土 店舗の広がり具合からすると、比較的新しいファミレスなのかもしれない。
ファミレスというと安くて色々な料理が揃っているのが取り柄で、味の方は大したことがない、というのが世間の認識としては一般的だ。一般論としては異論のないところである。だが、サイゼリアに関しては少々事情が異なる。イタリア料理以外はメニューで肩身の狭い思いをしているし、そのイタリア料理ですら、同業のフラカッソなどと比べると種類は決して多くない。
その代わり、味に妥協がない。化学調味料でごまかしているようなせこい味付けではなく、素材も調味料も確かなものを使い、実に豊かな味わいを表現している。メニューが少ないといっても全てを食べたわけではないので、全ての料理の味を保証しろなどと言われると困るが、しかしこれは世間で認知されているようなファミレスの味ではない。なかんずくマルゲリータピザは絶品だ。
二人で満足するまで食べても、うまくメニューを選べば二千円ちょっとで足りるし、こちらの面でも合格点だ。
大和朝廷といえば今日は天皇誕生日であった。天皇陛下万歳。ぼくは思想的に左右の別のない人間であるが、天皇家の存在は日本人の精神世界に欠くべからざるものだと思っている。天皇家を否定することは日本史の全否定につながる。ナショナリズムどうこうではなく、自国の歴史をないがしろにするべきではない。
駅前の時計屋で、腕時計の電池を交換した。時計屋の主人が目の前で器用に作業をするのを見ているのはとても楽しい。腕から外し、今し方止まったばかりのような顔をして差し出したのだが、「これは三年間止まったままだったんですか」と、簡単に見破られてしまった。電池を交換し、時刻を合わせてくれたのだが、三年も止まっていたおかげで竜頭の動きが悪かったのか、油を差してくれた。鮮やかな手腕にほれぼれして、ぼくも今日から時計屋の主人になろうかと戯れに言ってみたら、不器用だから無理に決まっていると相方に言われた。一般人よりは器用なつもりなのだが、まあ確かに無理な話ではある。
新潮文庫に入っている漱石の猫を買ってきて、読んでいる。これを初めて読んだのは中学一年生のときだ。中学生のことだから難解な漢字をある程度廃した、いわば子供版を買ってきて読んでいた。この本は都合六回は読んでいて、今も手元にある。もはや愛蔵版であるが、いい加減ひらがなの多いこの本も読みづらくなってきたので、今回新潮文庫を買った次第である。何度読んでも新たな面白さが発見できる。かような良書はそうそうあるものではない。
年末に向けて〆切がまたひとつ増えた。整体に行きつつ頑張ることにする。
カール・ルイスが自動車のスピード違反で捕まったそうだ。下手なジョークみたいであるが、常に世界最速たらんとするその心意気だけは素晴らしい。
相方の父上が有給で家にいらっしゃったので、日本橋へ余剰のディスプレイモニタを売りに行ってきた。かなり調子の悪いシロモノだったから、無料で引き取ってもらえさえすればよいという心積もりで行ったのだが、一台はうんともすんとも言わず 0 円買い取りだったものの、もう一台は 1300 円の値がついた。交換して不要になった Rage128 やら古い CD-R/RW ドライブやら、相方が安売りのときに思わず買ったが使いでのなかった FireWire ボードやらで、しめて 5000 ポイント分になった。大満足である。そのポイントで念願のラクダ本 vol.2 を購入。
ツタヤで『アマデウス』を借りてきて、鑑賞。この作品がかつてアカデミー賞を総嘗めにしたことを初めて知った。だからという訳ではないが、やはりこの映画は良い。以前に見た時は中学生か高校生のときだったから、ストーリーについては随分記憶が曖昧だったが、この映画はとにかく印象に残るシーンが多い。それに、何といっても音楽面での演出が素晴らしい。フィルムのつなぎ方も申し分ない。もちろん構成も素晴らしいし、老サリエリの語る言葉はひょっとして虚妄なのではないかとか、十字架の重さとか、見る人にそれぞれの感慨を抱かせるであろう狂院という舞台設定の絶妙さは、とても筆舌につくせるものではない。
相方が調べたところによると、DVD が出ているらしい。それも通常版とディレクターズカット版と二種類が出ているらしい。ここはひとつディレクターズカット版を保存用に購入しておきたいところだ。
今朝セブンイレブンの雑誌コーナーにあったラーメンの特集雑誌をつれづれなるままにながめていると、そこになんと桂花の文字があった。京都駅ビル 10F に新しくオープンした
京都拉麺小路 というところへ来ているそうだ。関西初出店とのこと。いてもたってもいられなくなり、作業を適当に片付けて午後から京都まで出かけた。交通費が太肉麺の二倍以上かかるが、そんなことは大した問題ではない。渋谷まで行く方がよほど高い。
駅ビルのエスカレーターを順に上がっていくと、途中で
今冬最大のネタ であるところの『ザ・ラストサムライ』の衣装展示をやっている。どんな映画かは未だに知らないが、衣装は随分と作り込まれていて、軍服や十二単が本物と見まがうほどの出来であるのはもちろん、鎧具足に至っては歴史資料と言われても信じられそうなほどだった。なかなか侮れない。それは良いのだが、軍服を愛して止まぬ相方が、この映画を見たいと言い出した。如何したものか。
さて、10F 催事場を縫って奥に進むと、件の拉麺小路があった。薄暗く、ラーメン屋が立ち並んでいるのにはおよそ似付かわしくない装いである。何だか小洒落たカフェかバーのようだ。もっとも、そんなことはどうでもよろしい。桂花があればオールオーケーだ。雲南茶の味が懐かしい。久々に食した桂花のラーメンは実に旨かった。また来ようと思うが、できれば大阪にも出店してくれた方が足を運びやすくて良い。
備え付けの要望書にそのことを書いて投函し、しばらく待っていたら、出がけに「東京の店と味が違う」と文句を言う客がいた。店員がしきりに頭を下げている。注文を付けるのは結構なことだが、彼は桂花という店を知らぬ。他の店なら知らず、桂花ほど店舗ごとに味の異なるラーメン屋はないのだ。東京にあっても渋谷と新宿の店では味が違うし、新宿には三店舗あるがそのいずれもスープの濃さは独自のものを持っている。その辺の事情をわきまえて贔屓の店舗を見つけたり、味の違いを楽しんだりするのが桂花ファンというものである。
語り始めたらきりがないので、この辺で終わりにしておく。また Y と長々と桂花に入り浸りたいなぁ。
ところで、パンフレットでもサイトでも、
関西を代表する一杯 との説明書きの添えられた大阪上方ざんまい屋が
関西初出店 となっているのは、何かの冗談だろうか。