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2004.1.5
ぼくは料理はできないが、味にはとことんやかましいという、料理をする方にとっては最も鬱陶しい部類の人間である。もっとも、ドレッシングくらいなら自分で調合する。これは相方にもそれなりに評判がいい。そのかわり包丁を使わせると目も当てられぬ事態となるので、まあ料理に限ってはほぼ能無しの烙印を押されても仕方がない。あ、ご飯は炊けるな。ひとりで生きていかなければならなくなっても、米さえあればなんとかなりそうだ。
料理以外にも、家の中の仕事にはいろいろなものがある。掃除洗濯洗い物、猫の世話から仔猫の世話まで、それこそ山のようにある。しかし、こちらでもぼくはとことん役に立たない。掃除機くらいはかけるが、洗濯をさせれば洗剤の量をいちいち聞きに行く始末だし、洗い上がったものを干すにもやたらと時間がかかる。タオルを畳むのも下手だし、洗い物くらいと思っても、これも結局相方がやった方が手際が良い。つまるところ家事に関しては 猫の手ほどの足しにもならぬ のである。
しかしながら、風呂を入れることに関してだけは、ぼくの方が上だ。具体的にどう上かというと、湯加減を自在に調節するという点において、相方はぼくの比ではない。それで大体十回に八回はぼくが湯を張りに行く。湯を張る前に、湯船をざっとシャワーで流すのだが、そのときに得も言われぬ爽快感がある。これが噂に聞くところのマイナスイオンという奴だろう。マイナスイオンは体に良いそうだ。
イオンというからには、プラスのものだって存在するに決まっている。シャワー、というか流水からマイナスイオンが発生する理屈は知らないが、イオンが身近でごく簡単に発生することの証左にはなろう。それならば、この日常では、あるときふとしたことでプラスイオンが発生することだってありそうだ。そのとき、そのプラスイオンが体にどのような影響を及ぼすのか、やはりマイナスの反対なんだから健康に害を為すのかと、そんなことを考えながらぼくはシャワーで湯船を流すのである。
こういうことを書く日は、大概大したことが起きなかったと考えてよろしい。
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