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2004.10.5
大阪に帰ってきた。これでも何かと忙しいのである。
飛行機にはもう何度となく乗っているが、今日は久しぶりに身の危険を感じた。東京は雨で、滑走路をバシャバシャと水しぶきを上げながら飛び立った機体は、すぐに真っ白な雲の中に入った。さながら軽自動車でオフロードを走っているように、振動が絶える事なく伝わってくる。まあそれは仕方がない。なにしろ雲の中なのだ。
もうしばらく上昇すれば、雲を突き抜けて、青空の下に出るものと思っていた。眼下に広がる真っ白な雲海が、彼方の水平線で雲ひとつ無い青空(当たり前だ)と接しているのは絶景である。飛行機の醍醐味といってもいい。しかるに、今日はなかなか雲の上に出ない。よほど厚い雲のようだ。まだかまだかと思っているうちに水平飛行になった。まさかとは思っていたが、このまま雲の中を飛ぶようだ。
こういうときのフライトは最悪である。振動がおさまらぬどころか、しばしばエアポケットにつかまって機体が沈み、その度に心臓が口から飛び出しそうになる。飲み物のサービスもない上、到着も遅れることが多い。
だが、ヘッドホンでクラシックを聞きながら、荒天を飛ぶのは意外に痛快なものだ。無声映画なら、飛行機の中の風景と外の風景、それにオーケストラで適当なBGMを付けてやれば、かなり面白いものが出来上がるだろう。少なくともそのつもりで乗っていれば、チャップリンになった気分を味わうことくらいは出来るのである。
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