白林檎ベースステーション

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白林檎的日常

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2004.10.21

 少し前の話になるが、日清食品から、どんぶり付きチキンラーメンが限定販売されていた。このどんぶり、専用に作られているだけあって、チキンラーメンを作るのには最適の形状をしている。これを使ってチキンラーメンを何度か食べているうちに、ぼくはある妄想に取り憑かれた。つまり、チキンラーメンでない普通のインスタントラーメンでも、これさえ使えば湯だけで調理できるのではなかろうか。そう思ったのである。

 幸か不幸か、いつも反対する相方はもう寝入ってしまっている。やるなら今しかない。都合よくここにエースコックのワンタンメンが一袋ある。いざ、調理開始。

 ところが、この調理はのっけからつまずいた。即席麺の面積が広すぎて、どんぶりに入りきらないのである。ここで諦めておけばよいものを、何とかなるだろうととりあえず湯を注いだのが間違いの元であった。麺が半分しか浸らないばかりか、どんぶりの蓋が閉まらない。とりあえず一分待つ事にする。

 一分後。案の定、麺はほとんどほぐれていない。しかし湯に浸っていた部分は半ば柔らかくなっているので、箸で麺をひっくり返してみる。そしてそのまま箸でグリグリと押してみる。次第に麺はふやけ、ようやく全体が湯に浸かった。

 この時点で、時計は二分を回っていた。蓋を開けていたせいで湯もいくらか冷めてしまったようだ。しかし、ここまで来て後には引けない。もう一分、蓋をしっかりと閉め、祈るような気持ちで待つ。

 三分経った。おそるおそる蓋を開けると、麺は良い具合にほぐれているように見えた。粉末スープを入れてかきまぜると、何となく普通に作ったように見える。──が、冷静に観察すると、ほとんど湯気がたっていない。やはりしばらく蓋を開けていたのはかなり失敗だったようだ。

 まあ多少冷めていても大丈夫だろう。ひとくちすする。生煮えの麺を噛むと、妙な歯触りである。確かにふやけてはいるのだが、揚げ油が抜け切っておらず、噛むごとにそれが「ずるりずるり」と口の中に広がる。有体に言って、かなりアレな食感である。というか、正直、不味い。ひとくちでインスタントラーメンが嫌いになりそうなほどインパクトのある味わいだ。

 仕方がないから全部平らげたが、油のせいで少々胸焼けがする。世の中には手を出してはいけない分野があるのだと知った。