白林檎ベースステーション

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2005.12.3

 ところで、Perlにもバージョンがある。おお。接続詞から始めると筒井康隆のようだ。

 で、Perlにもバージョンがあって、現在は5である。5というくらいだから、過去には4もあったし、1〜3もあったに違いない。ぼくは4からしか知らないので、それより前のバージョンについてはよくわからないが、Perl 4からPerl 5にバージョンが上がるにあたって、ものすごい進化の仕方をした。オブジェクト指向プログラミングの概念の導入である。

 プログラミング言語にもバージョンがあるというのが不思議だという人も多いと思うが、厳密にいうと、バージョンが上がるのは言語ではなく、それを処理するシステムの方である。もっとも、それに伴って言語の記法に追加や変更が加えられることも多く、その意味では言語のバージョンも上がると言える。

 言語と処理系の関係は、ちょっと語弊があるかもしれないが、喩えるならOSとアプリケーションの関係みたいなものだ。アプリケーションの箱をひっくり返してみると、必ず「対応OS」とか「システム要件」とかいった項目の表示があるはずだ。古いバージョンのアプリケーションは大抵新しいOSで動かすことが出来るが、その逆、つまり新しいバージョンのアプリケーションを古いOSで動かすことは出来ないことが多い。まあ、大体そんなところだ。

 とにかく、Perlでもオブジェクトを使えるようになって、大変便利になった。さらにはものすごい数のモジュール──これも敢えて語弊をおそれずに喩えるなら、Webブラウザのプラグインみたいなものだ──が、世界中の有志によってメンテナンスされていて、「ちょっと複雑なプログラム」くらいのレベルであれば、CPANを回ってモジュールをいくつか拾ってくるだけで実現してしまうことも多い。

 ただ、Perl 5では、実際には本当の意味でのオブジェクト指向が実装されているわけではなく、既存の機能を応用して実現しているので、JavaとかPHPとかRubyとかいった最初からオブジェクト指向で設計された言語と比べると野暮ったいというか、取り回しが面倒なところがあった。Perlらしいといえばらしいのだが、PHPに徐々に取って代わられつつある原因のひとつであることも確かだ。

 それを解決すべく、Perl 6の開発が進められている。はずなのだけど、困ったことに、どうも進捗が芳しくないらしい。多分、世間のPerl使いがPerl 5で満足してしまっているからではないかと思う。必要は発明の母というが、その逆の状態に陥ってしまっているのではなかろうか。

 一蓮托生と決めた以上、何か貢献出来ればいいのだが、この場合Perl 5を愛用していてもあまり解決にならないわけで。でも、まあ、世界の隅っこでPerlスクリプトを書き続けるのも、Perlの勢力を維持するのに必要なのかなあ、などとも思う。優秀な枯れた言語であるが故のジレンマと言えるかもしれない。